リスティング広告を成功させるうえで、キーワード選定は非常に重要です。特に「リスティング広告 マッチタイプ」の設定は、広告がどのような検索語句に対して表示されるかを決定づけるため、成果や費用対効果にも大きく影響します。
本記事では、リスティング広告で設定できる「インテントマッチ(旧:部分一致)」「フレーズ一致」「完全一致」の3種類のマッチタイプについて解説し、実際の運用でどのように使い分ければよいのか、そのポイントをご紹介します。
1. マッチタイプとは?
概要
「マッチタイプ」とは、設定したキーワードが実際の検索語句に対してどの程度一致していれば広告を表示するかを決める仕組みです。Google広告(Google Ads)やYahoo!広告などでは主に3種類が用意されており、それぞれ下記のように検索対象の範囲が異なります。
- インテントマッチ(旧:部分一致)
- フレーズ一致
- 完全一致
重要性
マッチタイプの選択を誤ると、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 無駄なクリックが増え、広告予算が消化される
- ターゲットユーザーに届かず、コンバージョン獲得の機会を逃す
逆に、正しくマッチタイプを設定すれば、効率的に費用を使いながら成果を最大化することが可能です。そのため、リスティング広告を運用する際は、ターゲットや目的に合わせてマッチタイプを使い分ける必要があります。
2. 各マッチタイプの特徴と違い
2-1. インテントマッチ(旧:部分一致)

特徴
- 最も広範囲に広告が表示されるマッチタイプ。
- 類義語や関連語句、スペル違いなどが含まれる場合でも広告が配信される。
メリット
- 集客の幅を広げることができ、新たなユーザー層にリーチする可能性が高まる。
- 初期段階で多くのデータを集められるため、その後の運用戦略に生かしやすい。
デメリット
- 意図しない検索語句でも広告が表示され、クリック費用がかさむリスクがある。
- 広告の関連性が低い検索語句が増えると、品質スコアが下がる場合もある。
インテントマッチ(旧:部分一致)の具体例
マッチタイプを「インテントマッチ(旧:部分一致)」にしたときの具体例は次のとおりです。
登録キーワード | 検索キーワード | 広告表示される理由 |
---|---|---|
クリスマス 贈り物 | クリスマス | 登録キーワードの一部が含まれている |
クリスマス 贈り物 | プレゼント | 登録キーワードの一部の関連語が含まれる |
椅子 折りたたみ | チェア たためる | 椅子の類義語の「チェア」が含まれている |
2-2. フレーズ一致

特徴
- 登録したキーワードが連続した形で検索語句に含まれているときに広告が表示される。
- 完全一致ほど厳密ではないが、インテントマッチ(旧:部分一致)よりは絞り込みが効く。
メリット
- インテントマッチ(旧:部分一致)よりも不要な検索語句での表示を抑制でき、費用対効果が高まりやすい。
- ある程度ターゲットを絞りつつも、多様な組み合わせの検索語句に対応できる。
デメリット
- 完全一致ほどピンポイントではないため、依然として多少の無駄クリックは発生し得る。
- 検索語句のバリエーションによっては、想定外のキーワードからトラフィックが流入する可能性あり。
フレーズ一致の具体例
マッチタイプを「フレーズ一致」にしたときの具体例は次のとおりです。
登録キーワード | 検索キーワード | 広告表示される理由 |
---|---|---|
クリスマス 贈り物 | クリスマス 贈り物 子供 | 登録キーワードが含まれている |
クリスマス 贈り物 | 贈り物 クリスマス 子供 | 登録キーワードのあとに他の語句がある |
クリスマス 贈り物 | 子供 クリスマス 贈り物 | 登録キーワードの前に他の語句が追加 |
引っ越し | 引越 見積もり | 「引越」と「引っ越し」は類似パターンが含まれている |
モーターバイク | オートバイ | 類義語 |
無料壁紙 犬 | 犬 フリー壁紙 スマホ | 登録キーワードと検索意図が同じ語句のあとに他の語句がある(※意味合い一致) |
2-3. 完全一致

特徴
- 登録キーワードと同じ意味・意図を持つ検索語句のみに広告が表示される。
- 一部の前後に単語が付いたり、表現が大きく変わったりすると表示されにくい。
メリット
- 費用対効果が高い。興味・関心が高いユーザーに対してのみ広告が表示されるため、コンバージョン率向上が期待できる。
- 広告の関連性が高いため、品質スコアを高く維持しやすい。
デメリット
- 配信対象が狭くなるため、広告の露出機会を逃すリスクがある。
- 新規キーワード発掘や市場ニーズの変化に対して柔軟に対応しづらい。
完全一致の具体例
マッチタイプを「完全一致」にしたときの具体例をいくつかご紹介します。
登録キーワード | 検索キーワード | 広告表示される理由 |
---|---|---|
クリスマス 贈り物 | クリスマス 贈り物 | 完全一致 |
クリスマス 贈り物 | 贈り物 クリスマス | 語順が逆だが、同じ意味合い |
クリスマス 贈り物 | クリスマスの贈り物 | 助詞「の」が入っただけで検索意図が同じ |
ウイルス対策ソフト 安い | ウイルスソフト 安い | 一部の語句(「対策」)が省略されても意味が同一 |
モーターバイク | オートバイ | 「モーターバイク」と「オートバイ」は類義語 |
無料音源 ダウンロード | フリー音源 ダウンロード | 「無料」と「フリー」の類義表現 |
ねこ | ねko | 変換ミスでも検索意図が同じと判断される場合がある |
3. マッチタイプの使い分け方
1. 予算や目的に応じた選択
- 予算に余裕がある場合: 新規顧客開拓を重視して「インテントマッチ(旧:部分一致)」を多めに設定し、多くのトラフィックを獲得する。
- 限られた予算で費用対効果を高めたい場合: 「完全一致」や「フレーズ一致」を中心にし、絞り込んだターゲットへの配信を重視。
2. 商材やターゲット層を考慮
- 高単価商材やBtoBの場合: 無駄なクリックを極力避けたいので「完全一致」が有効。
- 消費者向け商材(BtoC)の場合: 「インテントマッチ(旧:部分一致)」で幅広くユーザーを集め、そこからデータを集めて最適化を図る。
3. データ分析を踏まえて柔軟に調整
- 運用初期: 「インテントマッチ(旧:部分一致)」や「フレーズ一致」でデータを収集し、コンバージョン率やクリック単価を検証。
- 運用後期: 成果の高いキーワードを「完全一致」に切り替えて費用対効果をさらに高める。
- 定期的な見直し: キャンペーンや外部環境の変化に応じて、マッチタイプを再調整する。
4. 効果的な運用のためのポイント
1. 除外キーワードの設定
- 「インテントマッチ(旧:部分一致)」を中心に運用する場合や、新規キーワードを増やす際は、想定外の検索語句も増えがちです。
- そこで「除外キーワード」を設定し、明らかに関連性が低い検索語句をブロックしましょう。
2. 検索語句レポートの活用
- 定期的に検索語句レポートを確認し、実際にどんなキーワードで広告が表示されているかを把握します。
- コンバージョンに貢献しているキーワードを見つけたら、より厳密なマッチタイプに移行したり、新たに登録したりしましょう。
- 逆に、費用対効果が悪いキーワードや不要な検索語句は、除外キーワード設定などで対処します。
3. ツール活用とテスト
- キーワードプランナーなどの無料ツールを活用し、検索ボリュームや関連キーワードを調査します。
- 実際にA/Bテストや複数キャンペーンでマッチタイプを変えて比較し、どの組み合わせが最も成果につながるかを検証します。
5. まとめ
- マッチタイプ選びがリスティング広告の成果を大きく左右する
- 広範囲にリーチできる「インテントマッチ(旧:部分一致)」
- 適度に絞り込みながらも柔軟に対応できる「フレーズ一致」
- 高い精度でターゲットユーザーに届けられる「完全一致」
- まずは目的・予算・商材特性を踏まえて運用設計を行い、データを蓄積しながら調整する
- 初期段階で広くデータを集め、効果の高いキーワードは厳密なマッチタイプに移行
- 定期的に検索語句レポートを確認し、除外キーワードや運用方針を見直す
- 常に改善を続ける姿勢が大切
- 運用を継続するなかで、市場環境やユーザーの検索トレンドは変化し続けます。
- 定期的にPDCAを回しながら、広告運用を最適化していきましょう。
リスティング広告の成否を分ける大きな要因の一つが、マッチタイプの選択です。
運用初期にはデータを蓄積しながら柔軟にマッチタイプを設定し、徐々に成果の高いキーワードを厳密なマッチタイプに移行することが効果的です。また、検索語句レポートや除外キーワードの設定を欠かさず行い、常に運用を最適化することが成功の鍵となります。
リスティング広告を長期的に成果へ結びつけるためには、定期的な分析と改善が欠かせません。ぜひ本記事を参考に、リスティング広告 マッチタイプを使いこなし、広告運用の質を高めてみてください。